特定運送委託とくていうんそういたく
特定運送委託(とくていうんそういたく)とは、取適法(中小受託取引適正化法)で2026年1月1日から新しく規制対象に加わった取引類型。売った物・作った物・直した物を、取引の相手方へ届けるための運送を他の事業者に委託することを指す。物流分野の取引適正化を進めるために追加された。
最終更新 2026-07-30
概要▲目次
特定運送委託は、取適法で新しく設けられた取引の種類です。事業者が、業として販売する物・請け負って製造した物・修理した物、または作成した情報成果物が記録された物を、その取引の相手方(相手が指定する者を含む)に運ぶ行為の全部または一部を、他の事業者に委託することをいいます(第2条第5項)。
これにより、製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託とあわせて5つが「製造委託等」となりました。
語の成り立ちと読み方▲目次
「特定」「運送」「委託」の3語を組み合わせた語で、2026年1月1日の施行で新しく作られました。
頭に「特定」が付いている理由は、あらゆる運送ではなく取引の相手方に向かう運送だけを指すためです。自社の工場から自社の倉庫へ運ぶような、取引の相手方に向かわない運送は含まれません。条文はこの限定を「取引の相手方(当該相手方が指定する者を含む)に対する運送」という書き方で表しています。
読みは「とくていうんそういたく」です。
他の言語での言い方▲目次
新設された語なので、定訳はまだ存在しません。説明的には specified delivery commissioning(特定された運送の委託)となります。運送を独立した取引類型として規制する仕組み自体が国際的に一般的ではないため、訳語ではなく定義の説明が必要になる語です。
なぜ追加されたのか▲目次
物流の現場では、荷主から運送事業者への発注で、書面のないまま条件が決まる、運賃が一方的に据え置かれる、といった問題が指摘されてきました。従来の下請法では役務提供委託として捉えきれない部分があり、運送の委託を正面から対象にするため独立した類型が置かれました。
対象になる運送・ならない運送▲目次
| 例 | |
|---|---|
| 対象になる | 販売した商品を購入者に届ける運送を運送会社に委託する/製造を請け負った製品を発注元に納品する運送を委託する/修理した物を持ち主へ返す運送を委託する |
| 対象にならない | 取引の相手方に向かわない運送(自社の工場から自社倉庫への移動など) |
判定の軸は「誰に向かって運ぶか」。取引の相手方(またはその指定先)に向かう運送であることが条件です。
特定運送委託でかかるルール▲目次
発注する側は、書面等による条件の明示・交付(第4条)、受領日から60日以内の支払期日の設定、記録の作成保存(第7条)が必要です。第5条の禁止行為も適用されますが、役務提供委託と特定運送委託については、その性質上、受領拒否(第1号)と返品(第4号)に関する規定は適用されません。
関連する言葉
出典
- 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(昭和31年法律第120号)第2条 — e-Gov法令検索
- 公正取引委員会「下請法が取適法に変わります」
- 企業取引研究会 報告書(公正取引委員会・中小企業庁 共催/令和6年12月25日)— 改称の理由
- e-Gov法令検索: 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律
- 中小企業庁「下請法・下請振興法改正法の概要」
最終確認日: 2026-07-30