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委託事業者いたくじぎょうしゃ

委託事業者(いたくじぎょうしゃ)とは、取適法(中小受託取引適正化法)で仕事を発注する側を指す言葉。2026年1月1日の施行にあわせて、下請法の「親事業者」がこの名称に変わった。資本金または従業員数が一定を超えると、発注先に対して書面交付や支払期日などの義務を負う。

最終更新 2026-07-30

300人従業員数の基準(製造委託等)1条件を明示する2書面を交付する3記録を作り保存する資本金が小さくても従業員数で対象になる委託事業者発注する側(旧・親事業者)中小受託事業者受ける側発注義務を負うのは発注する側。旧称「親事業者」から名称が変わった
図1: 委託事業者になる基準と、負う義務。

概要▲目次

委託事業者は、取適法発注する側を指す法律上の呼び方です。下請法時代の「親事業者」にあたります。名前が変わっただけでなく、対象になる範囲そのものが広がりました。従来は資本金だけで判定していましたが、取適法では常時使用する従業員の数による基準が加わったためです(本法第2条第7項)。

語の成り立ちと読み方▲目次

下請法まで取適法から下請代金支払遅延等防止中小受託取引適正化法親事業者委託事業者下請事業者中小受託事業者下請代金製造委託等代金
図2: 2026年1月1日で入れ替わった用語。法律から「下請」の語が消えた。

「委託」(仕事を任せること)と「事業者」を組み合わせた語です。旧称は「親事業者」で、「親」という字が上下関係を含んでいたため、任せる側という機能だけを表す語に置き換えられました。

読みは「いたくじぎょうしゃ」です。日常語の「委託」は他人に任せる意味で広く使われますが、この法律では製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託・特定運送委託の5つを指す限定された意味で使われます。

用語の新旧対照

下請法(2025年12月31日まで)取適法(2026年1月1日から)
親事業者委託事業者
下請事業者中小受託事業者
下請代金製造委託等代金
下請代金支払遅延等防止法中小受託取引適正化法

他の言語での言い方▲目次

委託事業者英語定訳なし。機能を訳すと commissioning business(委託する事業者)や ordering party(発注する側)旧称親事業者は parent company と誤解されやすかったが、資本関係とは無関係だった
図3: 改称で「親」による誤解の余地が消えた。

定訳はありません。機能をそのまま訳せば commissioning business(委託する事業者)や ordering party(発注する側)になります。旧称の「親事業者」は parent company と誤解されやすい語でしたが、資本関係とは無関係で、単に発注する側という意味でした。改称によってこの誤解の余地が消えたのは、用語としての改善点です。

どの規模だと委託事業者になるか▲目次

他社に仕事を発注しているかいいえ→対象外資本金または従業員数が基準を超えるかいいえ→対象外相手はその基準以下かいいえ→対象外取適法の対象発注する側にルールがかかる
図4: 対象かどうかの順序。判定は発注する側の規模から始まる。

資本金による基準

取引の種類発注する側受注する側
製造委託・修理委託・特定運送委託ほか(製造委託等)資本金3億円超個人、または資本金3億円以下
資本金1,000万円超〜3億円以下個人、または資本金1,000万円以下
情報成果物作成委託・役務提供委託(上記の政令指定分を除く)資本金5,000万円超個人、または資本金5,000万円以下
資本金1,000万円超〜5,000万円以下個人、または資本金1,000万円以下

従業員数による基準(取適法で新設)

取引の種類発注する側受注する側
製造委託等常時使用する従業員 300人超個人、または300人以下
情報成果物作成委託・役務提供委託常時使用する従業員 100人超個人、または100人以下

資本金を1,000万円以下に抑えていても、常時使用する従業員が300人(または100人)を超えていれば委託事業者になります。資本金の額だけで「うちは関係ない」と判断できなくなった点が実務上の要注意点です。

委託事業者が守ること▲目次

発注したときは、給付の内容・代金の額・支払期日・支払方法などを書面または電磁的方法で明示し、交付する義務があります(第4条)。支払期日は給付を受領した日から60日以内で定める必要があり、遅れた場合は受領日から60日を経過した日から遅延利息がかかります(第6条)。取引の記録を作成・保存する義務もあります(第7条)。

してはいけないこと▲目次

発注する側に禁じられている行為受領拒否支払遅延不当な減額返品買いたたき購入強制報復一方的決定
図5: 第5条が禁じる主な行為。受注側が同意していても違反になる。

第5条は、発注する側の行為を具体的に禁じています。主なものは次のとおりです。

違反した場合▲目次

明示すべき事項を明示しなかったとき、書面を交付しなかったとき、取引の書類・記録を作らない/保存しない/虚偽の記録を作ったときは、50万円以下の罰金です(第14条)。公正取引委員会の報告徴収や検査を拒む、虚偽の報告をする場合も同じく50万円以下の罰金(第15条)。従業者が違反した場合は法人にも罰金が科されます(両罰規定・第16条)。

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出典

最終確認日: 2026-07-30