委託事業者とはいたくじぎょうしゃ
委託事業者(いたくじぎょうしゃ)とは、取適法(中小受託取引適正化法)で仕事を発注する側を指す言葉。2026年1月1日の施行にあわせて、下請法の「親事業者」がこの名称に変わった。資本金または従業員数が一定を超えると、発注先に対して書面交付や支払期日などの義務を負う。
最終更新 2026-07-30/出典・確認日は本文末
概要▲目次
委託事業者は、取適法で発注する側を指す法律上の呼び方です。下請法時代の「親事業者」にあたります。名前が変わっただけでなく、対象になる範囲そのものが広がりました。従来は資本金だけで判定していましたが、取適法では常時使用する従業員の数による基準が加わったためです(本法第2条第7項)。
名称が変わった理由と新旧対照▲目次
「下請」という言葉には上下関係の語感があり、取引の対等性を表す用語へ改められました。旧法の用語との対応は次のとおりです。
| 下請法(2025年12月31日まで) | 取適法(2026年1月1日から) |
|---|---|
| 親事業者 | 委託事業者 |
| 下請事業者 | 中小受託事業者 |
| 下請代金 | 製造委託等代金 |
| 下請代金支払遅延等防止法 | 中小受託取引適正化法 |
どの規模だと委託事業者になるか▲目次
資本金による基準
| 取引の種類 | 発注する側 | 受注する側 |
|---|---|---|
| 製造委託・修理委託・特定運送委託ほか(製造委託等) | 資本金3億円超 | 個人、または資本金3億円以下 |
| 資本金1,000万円超〜3億円以下 | 個人、または資本金1,000万円以下 | |
| 情報成果物作成委託・役務提供委託(上記の政令指定分を除く) | 資本金5,000万円超 | 個人、または資本金5,000万円以下 |
| 資本金1,000万円超〜5,000万円以下 | 個人、または資本金1,000万円以下 |
従業員数による基準(取適法で新設)
| 取引の種類 | 発注する側 | 受注する側 |
|---|---|---|
| 製造委託等 | 常時使用する従業員 300人超 | 個人、または300人以下 |
| 情報成果物作成委託・役務提供委託 | 常時使用する従業員 100人超 | 個人、または100人以下 |
資本金を1,000万円以下に抑えていても、常時使用する従業員が300人(または100人)を超えていれば委託事業者になります。資本金の額だけで「うちは関係ない」と判断できなくなった点が実務上の要注意点です。
委託事業者が守ること▲目次
発注したときは、給付の内容・代金の額・支払期日・支払方法などを書面または電磁的方法で明示し、交付する義務があります(第4条)。支払期日は給付を受領した日から60日以内で定める必要があり、遅れた場合は受領日から60日を経過した日から遅延利息がかかります(第6条)。取引の記録を作成・保存する義務もあります(第7条)。
してはいけないこと▲目次
第5条は、発注する側の行為を具体的に禁じています。主なものは次のとおりです。
- 受注側に責任がないのに、納品物の受領を拒む
- 支払期日を過ぎても代金を支払わない(手形の交付や、期日までに現金化が難しい支払手段の使用を含む)
- 受注側に責任がないのに、代金の額を減らす
- 受注側に責任がないのに、受け取った物を引き取らせる
- 同種の給付の通常の対価に比べ、著しく低い代金を不当に定める(買いたたき)
- 自分が指定する物やサービスを強制的に購入・利用させる
- 公正取引委員会などに違反を知らせたことを理由に、取引を減らす・止めるなどの不利益な扱いをする
- 費用の変動などがあって受注側が代金の協議を求めたのに、協議に応じず、説明もせず、一方的に代金を決める(取適法で明確化された点)
違反した場合▲目次
明示すべき事項を明示しなかったとき、書面を交付しなかったとき、取引の書類・記録を作らない/保存しない/虚偽の記録を作ったときは、50万円以下の罰金です(第14条)。公正取引委員会の報告徴収や検査を拒む、虚偽の報告をする場合も同じく50万円以下の罰金(第15条)。従業者が違反した場合は法人にも罰金が科されます(両罰規定・第16条)。
関連する言葉
出典・この記事の作り方
- 事実は一次資料(法令・所管官庁の公表資料)だけから書いています
- 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(昭和31年法律第120号)第2条 — e-Gov法令検索
- 公正取引委員会「下請法が取適法に変わります」
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